年下彼氏は糖度が高め
プロローグ

年下の悪魔


廊下に見える栗色のくせ毛。



「先輩、一緒にかーえろ」



スラリと伸びる長い手足。



「…また教室まで来たの?」



「うん。早く先輩に会いたくて来ちゃった」



甘い声や言葉にルックス。



それら全てが彼の武器であり…



「…まだ?俺、先輩不足で死んじゃいそう」



時には鋭利な刃物と化す。







「っん……あ、ずま…っ」



「…なぁに、先輩」



「も…っ、むりっ…」



「…ヤダ、って言ったら?」



「っ、無理って言ってんでしょうが…!!」



ゴツンと鈍い音が放課後の教室に響き渡る。



「痛…何も殴ることないじゃん」



むくれてもなお綺麗な顔が、なんとも憎たらしい。



「あんたがやめないからでしょ…!」



「先輩が可愛いのが悪い」



こっ…こいつは本当に…。



かぁっと顔が熱くなるのが嫌でもわかって、怒りと羞恥でどうにかなりそう。



東都璃久、高校1年生の16歳。



「…ほら、またそうやって可愛い顔する。先輩のその顔、マジで理性吹っ飛ぶから」



「っ!!」



彼は私を弄ぶ、年下の悪魔みたいな彼氏だ。
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