ドＳな御曹司は今夜も新妻だけを愛したい～子づくりは溺愛のあとで～

「風柳千笑とのことは、少し我慢してほしい。明後日の祝賀会にも彼女を呼んでいるのを依都も知っているだろう。そこで彼女との企画を発表する」

　まるで拒否権はないと突きつけられているようで、胸がぐっと苦しくなった。『なんでも話して』と気遣ってくれたけれど、彼女と会わないでとはもう言えそうにない。

　祝賀会は昨年末に行われた日本酒のコンクールでの受賞を祝うパーティーで、取引先やメディアも呼びそのお酒を振る舞って盛大に行われる。風柳さんがあんな発言をした後では、史悠さん共々注目されるに違いない。

　私も招待されているのだが、正直行きたくない……という私の心情を見透かしているかのごとく、彼は威圧感のある瞳を向ける。

「いいか。逃げるなよ」

　有無を言わさない迫力があり、私は頷くしかなかった。

　また風柳さんに言い寄られるシーンを見ることになるかもしれない。もしやこれは、本心を隠していた私への罰のつもりなのでは……。

　いや、彼はそんな私情を挟む人ではない。ただの仕事なのだから、これくらい我慢しなければ。

　そう頭ではわかっていても、次から次へと湧いてくる嫉妬を抑える方法は、今は見つかりそうもない。