婚約者と親友に裏切られて殺された聖女はアンデッドとして蘇ります!〜冥王様と共に絶望をお届けする予定ですけど……覚悟はいいですか?〜
『だけど国王陛下に知らせた方がよかったんじゃないか!?こんなこと……ああ、ヴィヴィアン様。お許しください』


痛みは感じないが自分の体がゴミのように放り投げられるところを他人事のように感じていた。
体がゆっくりと泥の中に沈んでいき、呼吸が苦しくなっていく。

(ああ……本当に死んでしまったのね)

ヴィヴィアンは身を任せて死を受け入れる。
ショックも大きく、もう抵抗する力は残っていない。
二人は憎く思ったがそれよりも悲しみの方が優っていた。

(精一杯、頑張ったわ。頑張ったけどダメだった。お父様……マイロンお兄様。ごめんなさい)

大好きだった父もスタンレー公爵とあの二人の策略によって毒を盛られて苦しんでいるのだろうか。
兄のマイロンも追い詰められて苦しんでいたらと思うと、胸が痛い。

(正しい行いをしていたつもりだったのに……わたしは間違っていたのね)

あんなにも愛していると思っていたジェラールも、親友のように振る舞っていたベルナデットも、ヴィヴィアンを馬鹿にして邪険にしていた。
そしてヴィヴィアンが亡き後、二人は結婚して幸せに暮らすのだろうか。

(悔しい、苦しい、辛い……っ!)

叫び出したい気持ちのままヴィヴィアンの体はどこまでも堕ちていく。
燃えるような熱さを感じながらヴィヴィアンは目を閉じた。


* * *
< 28 / 216 >

この作品をシェア

pagetop