好きな人と暮らす初めての日

「俺だって本当なら聞きたくないが、これも職務のうちなんだ。彼女が話したくないなら、無理に口を開かせるつもりはない」


 リュカは何か我慢するように口をきゅっと結び、私のことを心配そうに見る。
 先程よりも心配している様子で不思議に思う。


「性的なことって?」

「体を触られたり、無理矢理迫られたりしたことはなかったか?」


 彼に聞いたつもりだったが、またノアムさんが答える。

 体は暴力を振るわれる時に触られていたが、どうやらそれとは違うらしい。
 無理矢理迫られるというのもよくわからず、はてなマークが浮かぶ。


「その様子だとそういう行為はなかったようだな。変なことを聞いてすまなかった」


 結局、性的なことというのがよくわからないうちにその話は終わった。
 でもその話のおかげか、気づいたら体の震えはおさまっていた。


「これだけ聞ければいいだろう。リーベ話してくれてありがとう。疲れただろうし、今日はもう帰っていいぞ」


 ノアムさんは私に優しげに笑いかける。
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