惰眠をむさぼるくらいなら

「わたしのこと、鈍くさいって言うんだよ。ひどくない?」

「ひどいねー」



口では棒読みで答えて、心の中では、間違ってはなくない?と思う。


この世にいると言われるドジっ子や天然のほとんどが模造品(イミテーション)だと私は思っているけれど、こと日葵に関しては例外だ。


彼女の失敗はかわいいものもあれば、ひょっとすると引かれるものもあって、『おま……っ、それはやばいな……』と本気で引かれているところを何度か目撃したことがある。


どんな内容なのかは日葵の沽券にも関わることなので、黙っておくけども。



ともかく、愛嬌を作り出す気のない日葵の天然は生まれつきのものらしい。


らしいというのは、残念ながら生まれた頃からの知り合いではないので、人伝に聞いた話になっちゃうから。


果たして天然な赤ちゃんとはどんな赤ちゃんだろうとふしぎだけど、まあそういうことにしておこう。



で、その聞いた相手というのが、先に出た穂稀くん。

つまり、日葵と穂稀くんは、生まれたときから知り合いの幼なじみという間柄にあたるわけ。


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