アンハッピー・ウエディング〜後編〜
今、聞き捨てならない言葉を聞いたような気がするんだが?
ウェイトレス?ウェイトレスってことか?
「…メイドじゃなくて、ウェイトレスだろ?」
「ふぇ?ううん、メイドだよ?メイドカフェだもん」
寿々花さんの口から、今日一番の爆弾発言。
何だと。ちょっと待て。それは聞いてない。
メイドカフェだと?うちの寿々花さんが、メイドだと…!?
文化祭実行委員会、何やってんだよ。そんなふざけた企画書を通してんじゃねぇ。
「す、寿々花さん。あんた…メイドをやるのか…!?」
「ふぇ?うん」
「…!」
…想像する。寿々花さんがメイド服姿で、「いらっしゃいませ、ご主人様」と言って接客している姿を。
危うく台パンするところだった。
頭の中で想像しただけで、この衝撃。
実際にリアルで、この目で目撃しようものなら。
俺は、その場に卒倒してしまうんじゃないだろうか。
「…どうしたの?悠理君。さっきから変だよ?」
「む、むしろ何で、あんたはそんなに落ち着いていられるんだよ…!?」
「…?メイド、楽しそうだよ?初めてだもん」
どんな体験でも、純粋に無邪気に楽しもうとするのは、あんたの長所だと思う。
けど、もう少し危機感というものも持った方が良いと思う。
…どうすんの?
文化祭の日は、校外からたくさんの客がやって来る。
中には、きっと居るだろう。
女子校のメイドカフェぐへへ、とかニタニタしてるような下衆男が。
あ、やべぇ。そんな気持ち悪い奴が、寿々花さんを下心満載でチラ見してる姿を想像したら。
頭の中で、その下衆男をぶん殴りたくなった。
…なんてことだ。
この際、教室が炎上しても構わないから、やっぱり寿々花さんにはキッチンに引っ込んでてもらえないだろうか。
俺が女装して人前に立つのとは、訳が違うんだぞ?
俺は恥を晒すだけで済むが、寿々花さんはそれどころじゃ済まない。
ただでさえ普段からぽやーんとして、危機感の欠片もないような奴なんだから。
そんな奴がメイド服姿を晒すなんて、無防備にも程がある。
オオカミの群れに、羊を一匹放つようなもの。
「気をつけろよ、くれぐれも気をつけろよ。変な奴に見られてると思ったら、すぐに助けを呼ぶんだぞ…!?」
「ど、どうしたの悠理君。突然怖い顔して…」
俺は寿々花さんの両肩を掴んで、切実に訴えた。
「良いから、頼むから約束してくれ。気をつけると」
「う、うん。よく分かんないけど、分かった」
「ヤバいと思ったら呼んでくれよ。旧校舎からダッシュで駆けつけるから」
…って、あんた携帯電話持ってないんだった。
あぁ、全く。何であんたは携帯電話の一つも持ってないんだ。ゲームの腕前はプロな癖に。
ただでさえ、自分のクラスの出し物だけで大変なのにさぁ…。
これ以上、心労の種を増やさないで欲しいよ。マジで。
ウェイトレス?ウェイトレスってことか?
「…メイドじゃなくて、ウェイトレスだろ?」
「ふぇ?ううん、メイドだよ?メイドカフェだもん」
寿々花さんの口から、今日一番の爆弾発言。
何だと。ちょっと待て。それは聞いてない。
メイドカフェだと?うちの寿々花さんが、メイドだと…!?
文化祭実行委員会、何やってんだよ。そんなふざけた企画書を通してんじゃねぇ。
「す、寿々花さん。あんた…メイドをやるのか…!?」
「ふぇ?うん」
「…!」
…想像する。寿々花さんがメイド服姿で、「いらっしゃいませ、ご主人様」と言って接客している姿を。
危うく台パンするところだった。
頭の中で想像しただけで、この衝撃。
実際にリアルで、この目で目撃しようものなら。
俺は、その場に卒倒してしまうんじゃないだろうか。
「…どうしたの?悠理君。さっきから変だよ?」
「む、むしろ何で、あんたはそんなに落ち着いていられるんだよ…!?」
「…?メイド、楽しそうだよ?初めてだもん」
どんな体験でも、純粋に無邪気に楽しもうとするのは、あんたの長所だと思う。
けど、もう少し危機感というものも持った方が良いと思う。
…どうすんの?
文化祭の日は、校外からたくさんの客がやって来る。
中には、きっと居るだろう。
女子校のメイドカフェぐへへ、とかニタニタしてるような下衆男が。
あ、やべぇ。そんな気持ち悪い奴が、寿々花さんを下心満載でチラ見してる姿を想像したら。
頭の中で、その下衆男をぶん殴りたくなった。
…なんてことだ。
この際、教室が炎上しても構わないから、やっぱり寿々花さんにはキッチンに引っ込んでてもらえないだろうか。
俺が女装して人前に立つのとは、訳が違うんだぞ?
俺は恥を晒すだけで済むが、寿々花さんはそれどころじゃ済まない。
ただでさえ普段からぽやーんとして、危機感の欠片もないような奴なんだから。
そんな奴がメイド服姿を晒すなんて、無防備にも程がある。
オオカミの群れに、羊を一匹放つようなもの。
「気をつけろよ、くれぐれも気をつけろよ。変な奴に見られてると思ったら、すぐに助けを呼ぶんだぞ…!?」
「ど、どうしたの悠理君。突然怖い顔して…」
俺は寿々花さんの両肩を掴んで、切実に訴えた。
「良いから、頼むから約束してくれ。気をつけると」
「う、うん。よく分かんないけど、分かった」
「ヤバいと思ったら呼んでくれよ。旧校舎からダッシュで駆けつけるから」
…って、あんた携帯電話持ってないんだった。
あぁ、全く。何であんたは携帯電話の一つも持ってないんだ。ゲームの腕前はプロな癖に。
ただでさえ、自分のクラスの出し物だけで大変なのにさぁ…。
これ以上、心労の種を増やさないで欲しいよ。マジで。