アンハッピー・ウエディング〜後編〜
再び春兆す頃の章1
寿々花さんと一緒に、キノコ博物館に行ってからしばらく経ち。

いよいよ冬の寒さもピーク、これを乗り越えたら春の兆しが見え始める…という、2月初頭の頃。





その日の放課後、買い物を終えて家に帰ると。

満面笑みの、嬉しそうな寿々花さんが出迎えてくれた。

「悠理君、おかえりー。見て見てー」

「おぉっと…。びっくりした…」

分かった、分かったから。

玄関で待ち構えるのやめてくれよ。

リビングでな?待っててくれ。

扉開けた瞬間に寿々花さんが出てくるとか。どんなビックリ箱だよ。

「で…どうした?」

「あのね、悠理君に見て欲しいものがあるんだー」

「何?」

「これ」

と言って、寿々花さんは愛用のスケッチブックを見せてくれた。

…相変わらず、画伯だな。

…下手くそって意味でな。

何を描いてるのか、いまいち分からないけど…。

「…何これ?」

「昨日見た夢がね、面白かったから、絵にしてみたんだー」

ふーん…。寿々花さんって、よく面白い夢を見るよな。

羨ましい。

「で、どんな夢だったんだ?」

「悠理君が、おっきいぬりかべの下敷きになる夢だったんだー」

ふーん…。

で、それの何処が「面白い夢」だったんだ?

俺にとっては悪夢なんだけど?
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