アンハッピー・ウエディング〜後編〜
盛夏楽しむ頃の章5
連休が明け、迎えた月曜日の朝。

今日は、寝坊せずにいつも通りの時間に起きられたぞ。

一応目覚まし時計をセットしておいたけど、必要なかったようだな。

「…よし」

身体も軽い、喉の痛みも頭痛も、すっかり消えている。

どうやら、風邪は完全に身体から抜けたようだな。

やれやれ。一件落着だ。

昨日の日曜日も、既に元気だったけどな。

昨日は、溜まってた洗濯物を片付け、掃除も料理もやった。

過保護な寿々花さんが俺を心配して、「私も手伝う」と手伝いを申し出てくれた。

有り難いけど、洗濯をするのに洗濯板と金ダライを持ってこようとするもんだから、止めるのに苦労したよ。

世の中には、便利な洗濯機という家電があるんだってことを理解してくれ。

…さて、それはともかく。

早く支度して、学校に行かないとな。

雛堂と乙無にもお礼を言わなくては。

確か、デザートを奢ってくれとか言ってたっけ。

ちゃっかりした奴らだよ。

まぁ、今回ばかりは助けられたから、文句言えないけど。

今日の放課後にでも、二人にリクエスト聞いて、奢ってくるよ。

ついでに、寿々花さんにもお礼をしないとな。

金曜日の夜からずっと、付きっきりで世話を焼いてくれた。

…まぁ、何やら見当違いな子守唄とか、的外れな看病もあったけども…。

それでも、一生懸命寿々花さんなりに、世話を焼いてくれたことは感謝している。

実際、そのお陰で今回は、色々と助けられたからな。

自分の体調が優れないときに、気遣って世話を焼いてくれる人がいるっていうのは、幸せなことだな。

それを強く実感した。

あと、今回の反省を活かして。

暑いからってエアコンの温度を下げ過ぎたり、冷たいものばっか食べるのはやめよう。

これを教訓にしよう。

…すると。

「あ、悠理君…。おはよー…」

「おぉ、寿々花さん。おはよう」

お古ジャージ姿の寿々花さんが、リビングに降りてきた。

丁度今、あんたのことを考えたところだよ。

看病のお礼とお詫びを兼ねて、何かプレゼントでもしようかと思ってたんだが。

折角だから、寿々花さんにリクエストを聞いて…。

…しかし。

「…ずびっ。悠理君、元気になった?…ずずっ」

「…あぁ。元気だけど」

「ずびっ…。けほっ。良かった。悠理君、顔色も良いみたい。げん、けほっ。元気になってくれて良かった」

「…」

しきりに鼻を啜り、咳をして、鼻水を垂らして。

「悠理君が元気になってくれて、私とっても嬉し、げほっ。こほっ…。ずびっ…」

「…あぁ」

元気に…なったのは良いんだけどさ。

何だか、物凄く嫌な予感がするのは俺だけか?
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