天才悪女は嘘を見破る〜王太子の教育係になったはずが溺愛されてます。すべてを奪った義妹一家は自滅しました〜
 すっかりやる気をなくしたダーレンに、ロベリアは悪魔のように甘く囁いた。

「ダーレン様、きっと父が斡旋した職が合わなかったのですね。おそらく領地経営なら、その手腕を発揮できますわ」
「確かに……領地経営なら父上と一緒にこなしてきたが、私は領地など持っていない」
「ふふ、ダーレン様がクレバリー侯爵家の領地経営をすればいいのよ」
「しかしエミリオが後継者だろう?」
「だから、お兄様が失脚すれば問題ないでしょう?」

 ようやくロベリアの意図を察したダーレンは、グラスに残っていたウイスキーを飲み干した。

「なるほど……そうすればいずれ私はクレバリー侯爵になるのだな」
「そうよ。無能な父と兄は追い出して、わたくしたちがクレバリー領を正しく導くの」
「だが、どうやるのだ?」
「ふふふ、まずはお兄様から引きずり下ろすわ」

 ロベリアはニヤリと笑い、破滅へ向かって突き進んでいくのだった。


< 120 / 220 >

この作品をシェア

pagetop