天才悪女は嘘を見破る〜王太子の教育係になったはずが溺愛されてます。すべてを奪った義妹一家は自滅しました〜
「抜けられたら、後はこちらで面倒を見てあげるよ」
「お、それは助かる。さすが王太子だけあって太っ腹だな」
「はあ、俺はユアンの態度がいつ不敬罪に問われるかと胃が痛い」
「あはは、リリスの兄上なら義兄弟なんだから大丈夫だよ。リリスを泣かせない限りは敵認定しないし」

 ユアンは礼儀作法とは無縁の組織で過ごしてきたためか、ルシアンに対しても敬語など使わないし態度も太々しい。だがルシアンはそんな細かいことは気にしていなかった。

「はあ? お前こそ王太子だからってリリスを泣かせたら、問答無用でオレが連れ去るからな」
「それは心配ないね。僕がリリスを泣かせるなんてありえないから」
「どうだかな」
「あ、ベッドの上では鳴かせると思うけど、それはいいよね?」

 ルシアンの爆弾発言に、テオドールもユアンも殺気立つ。

「お前……結婚式の前に手を出してみろ。ただじゃおかねえ」
「ルシアン殿下、そういうことなら今すぐにリリスは連れて帰ります」
「ははっ、リリスは愛されてるね。僕が一番愛してるけどね」

 義兄たちに殺気を向けられても気にも留めないルシアンは、挑発的な言葉を繰り返した。

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