天才悪女は嘘を見破る〜王太子の教育係になったはずが溺愛されてます。すべてを奪った義妹一家は自滅しました〜
 同じ騎士でも辺境伯の元で魔物と戦うのと、王族の護衛を務める近衛騎士では危険度も給金もまるで違う。魔法剣の使い手ならば近衛騎士でも騎士団長を狙えるのに、よほど戦闘が好きなのかとアマリリスは思った。

「私も詳しく話を聞いたところ、魔法剣が魔物に有効だと話していて、そのテオ団長が言うには雷の魔法剣が一番有効らしいのです。これは魔法剣の使い手の採用に力を入れ——」
「っ! 恐れ入ります、ヒギンズ伯爵。そのテオという騎士団長様は雷の魔法剣の使い手でございますか?」

 わずかに震えた声で、アマリリスは確かめるようにヒギンズ伯爵へ問いかける。

「ええ、魔法剣だけでも希少な存在ですが、テオ団長は青い稲妻をまとった剣を操り、切れのある剣技はそれもう見事でした。まだ二十代前半でお若いのにどれほどの鍛錬をされたのかろ感心しましたよ」
「もしかして、薄茶色の髪に新緑のような緑の瞳ではありませんでしたか?」
「おや、テオ団長をご存じでしたか?」

 その特徴は長兄のテオドールと見事に一致しており、アマリリスは息を呑んだ。


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