【短】「花火を背にした少女」


絵翔(かいと)が人物画描くなんて珍しいね」


「ただの花火じゃ、ありふれてるだろ」




 絵翔が描く花火なら、どんな名画にだって負けないのにな。


 私は持ってきたカメラケースからミラーレスを取り出して、脇をしめた。

 覗きこんだ画面には世界で一番の芸術品が映る。



 それが、一番映えるように。

 いつも通りカメラを調整して、パシャッと、シャッターを切った。




[終]

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