【短】「花火を背にした少女」
 私、絵翔(かいと)の絵をきれいに撮るために、いっぱい勉強して、研究して、試行錯誤して…。

 絵翔(かいと)だって、それをわかってて、いつも「きれいに撮れてるな」って褒めてくれてると思ったのに…。


 絵翔(かいと)はそっぽを向いて、低い声を出した。




歌月理(うつり)が絵を描くまで、俺の絵は撮らせない」




 ガンッと頭を殴られた気分。

 それは画家に例えるなら、筆を取り上げられたようなもので。

 私の楽しみが、生きがいが、ゴミ箱に捨てられてしまったようにすら思えた。


 鼻の奥がつんと痛くなって、目が潤み出す。

 それに自分でびっくりしたように、こみあげてきた感情を別のものでおおい隠すように。
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