キス、しよっか?



杏里ちゃんに渡す〝手紙〟なら、
瀬那くんが、自分で渡せば良いのに............



そう思って、首を傾げていると。



「ふっ。小栗って、鈍感なんだな。
ラブレターって言うんだよ、それ」



分かってなかった私を、
ずっと、笑いながら見てる瀬那くん。



「.........っ、瀬那くん、笑いすぎです、」

「じゃ、小栗。頼んだよ」



私がそう言うと、瀬那くんは、
言葉を残して足早に学校へと向かった............



私が、なんの疑問も抱かず、
受け取ってしまった〝ラブレター〟



昨日、杏里ちゃんと話してた時もそうだけど。



私は、きっとまだまだ、
〝恋〟ってものに疎いから気づかなかった。



瀬那くんの気持ちも、杏里ちゃんの気持ちも。



〝ラブレター〟を受け取るところを、
見ていた人の存在にも何にも...............



──────気づかなかった。


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