妹に彼氏を寝取られ傷心していた地味女の私がナンパしてきた年下イケメンと一夜を共にしたら、驚く程に甘い溺愛が待っていました【完】
Epilogue
 月日は流れ、約半年程が過ぎようとしていて、季節は秋を迎えつつあった。

 あれから有紗は実家へ戻る事になり、両親も、有紗のサポートをしようと三人でカウンセリングを受けているという。

 勿論私は三人と会ったりはしていないけれど、実家に戻った有紗から何度か手紙が届くようになり、そこに近況が書かれていたので知る事が出来た。

 そして、近況と共に、これまでの事を詫びる内容も記されていた。


《お姉ちゃん、今まで本当にごめんなさい。今となってはどうしてあそこまでお姉ちゃんに固執し続けてたのか明確な理由が思い出せないのだけど、私、ずっと甘えてきたんだと思う。昔、色違いでお揃いの洋服を買って貰った時、始めは青色が良かったのにお姉ちゃんの着ていたピンクが可愛く見えて、そっちが良いって駄々を捏ねたら渋々交換してくれたよね。それからも、駄々を捏ねると欲しい物が手に入った。お姉ちゃんはいつも、『仕方ないな』って許してくれた。だから、欲しい物は欲しいと思った時に何でも手に入ると思ってた。成長して、欲しい物の対象が物から人へ移ってお姉ちゃんの好きな人を知った時、お姉ちゃんよりも先に告白したら付き合えた。それを知った時のお姉ちゃんは凄く悔しそうな顔をしていたのに、怒らなかった。お姉ちゃんよりも先に付き合えて嬉しかったはずなのに、お姉ちゃんが諦めたら何だか付き合えた事もどうでも良くなっちゃって、何度かそれを繰り返しているうちに、私、気づいちゃったの。私はお姉ちゃんが欲しいと思った物に魅力を感じるんだって。それに気付いてからは、もう、自分でも引き返せなくなってた気がする。お姉ちゃんから奪って、お姉ちゃんが悲しむ顔を見るのが、どうしてか楽しかった。そうする事が、私の心を満たしてた。今思うと、そんなの本当に性格悪かった。ごめんね。謝って許してもらえる事じゃないけど、そうする事しか出来ない》


 この手紙はきっと、本心で書いたものだと私は信じたい。

 謝られたからって無かった事にはならないけど、悪い事をしたと思えるようになっただけでも、あの日私が有紗にきちんと話をした意味があったと思えたから、それでいい。


「亜夢」
「あ、百瀬くん」
「支度出来た? そろそろ出発しようと思うんだけど」
「うん、大丈夫」
「それじゃあ、表に車待たせてるから、行こっか」
「うん」

 私たちは今日、沖縄に向けて出発する。

 新婚旅行を兼ねた、二人だけの結婚式を挙げる為に。
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