妹に彼氏を寝取られ傷心していた地味女の私がナンパしてきた年下イケメンと一夜を共にしたら、驚く程に甘い溺愛が待っていました【完】
 有紗は可愛い。

 女の私から見ても、凄く可愛いと思う。

 でも、性格は最悪だ。

 まあ、有紗も馬鹿じゃないから、その最悪な性格を他人に見せる事は無い。


「……お姉ちゃん……ごめんなさい……っ、ごめんなさいっ」

 涙を流し、泣いて許しを乞う有紗。

 本性を知らなければ、そんな風に泣いて謝られては許してしまうかもしれない。

 でも、

 これは演技。

 全て計算された事。

「……もう、いいよ。……貴将、私はここには住めないから、後は貴方がどうにかして。私の荷物は明日、貴方が仕事に行ってる間に、纏めるから」
「……分かった」

 二人が抱き合っていた部屋になんて住みたくも無いから、私は二人で借りたこのアパートから出ていく事を選ぶ。

 とりあえず今日はどこかホテルにでも泊まろうと簡単に荷物を纏めている時、ふと、有紗の方に視線を向けると、未だ涙を拭いながら泣いているのだけど、その口元には、薄ら笑みが浮かんでいる。

 ほらね、やっぱり嘘泣き。

 思い通りに事が運んで、さぞ気分が良いでしょうね。

 私は有紗の本性を知っているから、決して、騙される事は無い。


「それじゃあ、さよなら」
「――亜夢、本当にごめん……。さよなら」

 一刻も早くこの場から逃げたかった私はバッグを手にすると、二人を振り返る事無く部屋を後にした。

 バタンと玄関のドアが虚しく閉まる。

 ああ、何て呆気ない終わり方。

 三年も付き合ったのに、こんな終わり方とか、

 正直笑えない。

「……これから、どうしよう……」

 行き場を失った私は、一体どうすればいいのか分からず、一人途方に暮れていた。
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