妹に彼氏を寝取られ傷心していた地味女の私がナンパしてきた年下イケメンと一夜を共にしたら、驚く程に甘い溺愛が待っていました【完】
Episode3
 百瀬くんが全てを包み隠さず話してくれたおかげで誤解は解け、彼がずっと前から私を想ってくれていた事も知れた。

 それと同時に彼が出逢った当初から『俺は絶対、他の人を好きにならない』と言っていた意味をようやく納得する事が出来た。

 そんな彼に飽きられないよう、私は私なりに自分磨きをして、今よりももっと好きになってもらいたい、可愛いと思ってもらいたいと最近はより一層身なりに気を使うようになり、周りからは『綺麗になった』『雰囲気変わった』と言われるようになっていた。

 だけど、

「……はあ……」
「百瀬くん、どうかした?」
「これでもう、五回目」
「え?」
「通りがかった男たちが亜夢に見惚れてた回数」
「何それ」
「……亜夢は自覚無さ過ぎ……最近凄く雰囲気変わったでしょ? 可愛いけど、正直俺的には悩みの種な訳……」

 私が自分磨きを始めたのは百瀬くんの為だったのだけど、それによって彼を悩ませる事になっているという。

「っていうか、通りすがりの人が見惚れてるとか、それ、絶対気のせいだって……」
「そんな事ないから! あーほら、今の男もチラ見してた。可愛いのは俺の前だけでいいよ……他の奴らに見せる必要無いって……」
「別に、見せてるつもりは無いんだけど……」

 なんて言うか、最近の百瀬くんは心配性で過保護な気がする。

「……こういうの、ウザい?」
「え?」
「……何か、男がこういう風に嫉妬心丸出しとか、束縛するみたいなのはやっぱりウザいのかなって……」

 私が呆れてると思ったのか、百瀬くんは少し不安げな表情を浮かべながらそう問い掛けてくる。

「ウザいなんて思わないよ? けど、ちょっと心配性かなって。でも、それが嫌って事は無いの。それだけ私を好きでいてくれてる証拠だから」
「……あー、失敗した」
「ん?」
「そんな可愛い事言われたら、今すぐ抱き締めてキスしたくなってきた……」
「なっ……!」
「映画は止めして、今日は帰ろうか?」
「もう! 映画のチケット予約しちゃってるから駄目! ほら、早く行こう?」
「えー、俺は映画より亜夢といちゃつく方がいい……」

 何だか傍から見るとバカップルに見えそうな程、私たちの仲は良好だった。

 だから、すっかり忘れていたの。

 有紗が、百瀬くんに再び関心を抱いていた事を。
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