世界を救わなくったって
今までおだやかだったオネストの表情が、みるみるうちに険しくなる。


「は、はぁ!?(わたくし)が、こんな田舎くさい女より下だというの!?」


いっ、田舎くさい女!?
確かに私はずっとこの村から出たことないし、オシャレな服も持っていないけれども!


「あら……あなたはフィアーバの好きな人に、ヒドイことを言うんですね」


フィアーバの母親は、オネストを見下ろした。


「王様があなたとフィアーバの結婚を反対したのは、身分の違いではなく、あなたがまだ未熟だからじゃないですか?」

「ひ、ヒドイのはあんたじゃない!!」


オネストは泣いてしまった。
しかし、護衛が彼女を励ましたり、フィアーバの母親を非難したりはしなかった。
むしろ、こちらに同情した目を向けている。


「うわああん!お父様に言いつけてやるんだから!!あんたが結婚を反対しても、フィアーバ様が魔王を倒したら、(わたくし)はフィアーバ様と結婚できるのよ!!」


オネストは、部屋から飛び出した。
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