世界を救わなくったって
世界を救うとか、魔王を倒すとか、そんなのフィアーバがやるべきことじゃない。
フィアーバは、顔は整っているし、優しいし、背も高い。
でもそれは、魔王を倒すのとは何も関係がない。


「い、行かなきゃ、ダメなの?」


口を動かして、声をひねり出す。

行かないでほしい。
なんて、言えなかった。

フィアーバは私の顔を見ると、眉を下げて笑った。


「すぐ戻ってくる」


やっぱり、行っちゃうんだ……


「わ、私も、一緒に___」

「それはできない」


せめて一緒に行きたいと言おうとしたら、拒絶されてしまった。
さっきまで笑っていたフィアーバは、真剣な顔をしている。


「危険だから、テイルはダメだ」


二度も、拒絶された。
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