世界を救わなくったって
転送魔法で、魔王城から王都の近くまで移動した。
フィアーバはテイルの隣を歩いているが、二人共、目付きが鋭い。

王都に続く門をくぐる。


「……!」


テイルは王都の町並みを見て、目を輝かせた。
王都に来たのは初めてなのだろう。

テイルの顔を見て、フィアーバの表情が少し緩くなった。
しかし、俺の視線に気付いたのか、すぐに真顔になる。

アイツの真顔、怒っているときより怖い気がする。


「フィアーバたちだ」

「もう戻ってきたのか?」

「早いな……」


俺とフィアーバに気付いた人が、コソコソと話している。
まさか、もう魔王を倒したとは思いもしないだろう。


「城まで距離があるから、馬車を使うぞ」

「「わかりました」」


二人そろって返事をしていた。
仲良いな。

大通りで、馬車をつかまえる。
俺が先に乗り、次にフィアーバが乗った。
テイルが乗りやすいように、フィアーバはテイルの手を掴んで、軽く引っぱっていた。

喧嘩中なんだよな……?
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