世界を救わなくったって
「……あ、り、がと……」


俯いた状態のテイル。
声が震えているし、小さい。


「なんで泣いてるんだ?どこか痛いか?怪我をしたのか?」


顔を見ようと屈んだら、テイルは両手で顔を覆い隠してしまった。
落ちてしまった鍵を拾う。

テイルは声を押し殺して泣いている。


「ドア、開けるぞ」


テイルは何も言わないが、このまま廊下で泣かせるわけにもいかないので、テイルを部屋に入れる。


「ほら、鍵」


この部屋の鍵を渡すが、テイルは受け取らない。
泣き顔を見られたくないのか、手を動かしてくれない。


「……床に置いておくぞ」


室内のドアの近くの床に、鍵を置く。

テイルが落ち着いたら、話せるだろうか?
落ち着くまでは、一人にさせておいた方がいいのだろうか?

いつまでも、ドアを開けっぱなしにしているわけにもいかない。


「何かあったら言えよ。俺は自分の部屋にいるから」

「……なんで……」


テイルの部屋のドアを閉めて、自分の部屋に行こうとしたら、テイルがつぶやいた。


「なんで、オネストなの……?」


なんでって、何が?
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