世界を救わなくったって
フィアーバは会話もそこそこに、私のほうに戻ってきた。


「行こう、テイル」

「うん」


当たり前のように手を繋ぐので、ドキドキしてしまう。
エスコートとは違う。
普通に、手を繋いでいる。

私達の様子を見て、フィアーバと一緒に旅をしていた人は、近所の子供を見守るような顔をしていた。

会場の中に入ると、きらびやかな格好をした人しかいなかった。
それにしても、人が多い。

フィアーバが一緒にいてくれて助かった。
と思ったのもつかの間。
すぐに王様の部下みたいな人に呼ばれた。

フィアーバと別行動になってしまった。

うわぁ、緊張する……


「勇者テイルよ」

「王様……こ、この度は、パーティーへの……えっと……」


こういうかしこまった場面での対応が、うまくできない。
調べてきたけれど、今は頭が真っ白になってる。


「そういった堅苦しいのはしなくて良い。こちらが無理を言って呼んだのだ」


王様が気を遣ってくれた。
王様に気を遣わせてしまう庶民とか、無礼すぎる。


「で、ですが……」

「君が慣れないながらも、私達に敬意を払おうとしているのはわかる」


失礼だけど、なんでこんな優しい人を親にもったオネストはあんな性格なの?
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