世界を救わなくったって
ケガの手当てはまだ終わらないのだろうか?
それとも、テイルが会場に戻ってこれるまで精神が回復してないのか?

会場の端でワインを飲んでいると、オネスト様が会場から出ていこうとしているのが見えた。
俺はワインをテーブルに置いて、フィアーバたちが出て行った扉に近付く。


「オネスト、待ちなさい!」

「フィアーバ様が、あの女に連れ去られてしまったんです!連れ戻さないと!」

「落ち着きなさい!」


女王がオネストの腕を掴んだ。

まだフィアーバを諦めていないらしい。
オネスト様の近くにいた女王以外の人たちは、一定の距離を保っている。


「オネスト様がご乱心だわ」

「そんなに隣国の方との縁談がイヤなのね」

「でも、隣国の第三王子は素敵な方だと評判だぞ」


知らない間に、オネスト様は隣国の王子と婚約していた。

隣国の王族には詳しくないから、なんの情報も持ち合わせていない。
魔王討伐までずっと、魔王について調べてたからな……

扉を開けて、騒がしい会場から出る。

フィアーバたちに、今は会場に戻るなって伝えておこう。
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