狼上司と秘密の関係
まさか将来自分の子供がほしいかどうかを質問されるとは思っていなかったけれど、子供好きな千明は当然のように自分の子供がほしいと思っていた。
それが好きな人の子であれば、これほど幸せなことはないと思う。

だけど大和とは付き合い始めたばかりだし、そんなことを考えるのはまだ先のことだと思っていた。
子供たちと触れ合うことが多い仕事だから、大和も感化されたんだろうか。
そう思って顔を上げてみると、大和のたれた目と視線がぶつかった。

普段はクリッとして可愛らしいのに、今はなんだか落ち込んでいるような、誰かに怒られた時のような目つきだ。
「どうかしたの?」
なぜそんな悲しそうな顔をするのか理由がわからなくて訊ねる。

大和はまた空中へ視線を向けた。
「それならやっぱり、俺は相応しくないかもしれない」
ポツリと放たれた言葉に千明は「えっ」と小さく声を漏らして固まってしまう。

「相応しくないってどうして?」
なぜ今こんな話をするんだろう。
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