狼上司と秘密の関係
抱きついてはしゃいでいる。
「こらこらアユちゃん。お父さんは疲れてるんだから、休ませてあげなさい」

「はぁい」
まるで本当の家族のようでプッと吹き出してしまう。

それからも子供たちとの遊びの時間は続いて、気がつくと園長先生が近くに立っていた。
「千明先生は本当に楽しそうに子供と遊ぶわね」

「ご、ごめんなさい。他の仕事もあるのに」
慌てて立ち上がった千明に園長先生は「いいのいいの」と手で合図した。

「事務処理なんかは私みたいな年寄先生でもできるんだから、若い千明先生は子供の相手をしてくれたほうが助かるのよ」
ほほほっと上品な声で笑う園長先生は子供たちにも大人気で、すぐに囲まれてしまう。

このひまわり保育園に千明が再就職したのは3ヶ月前のことだった。
大和からの後押しもあり、思い切って面接を受けてみることになったのだ。

こうして間近で子供たちと関わっていると、時間を忘れてしまうくらい楽しいことを再確認した。
< 200 / 209 >

この作品をシェア

pagetop