狼上司と秘密の関係
従業員用の駐車場に車をとめて、公園の裏口から施設内へ入る。
そこから歩いて１０分ほどで体験施設の赤い屋根が見えてくる。

レンガのような外壁をしていて可愛らしい建物だけれど、外壁の壁紙のためだった。
実際レンガを使っているわけじゃないし、屋根から飛び出している煙突も偽物だった。

それでも観光客たちはその可愛い建物を気に入って、建物をバックにして写真を撮ることが多かった。
「おはようございます」

体験施設に入るとすでに梨江と晋也が出勤してきていて、それぞれ更衣室へ入っていくところだった。
「おはようございまぁす」

梨江が元気に挨拶をして、千明とともに女子更衣室へと向かう。
「なんか目が赤くない？」

梨江がそう訊ねてきたのは黄色いエプロンを付けたときだった。
エプロンには公園名が印刷されていて、可愛い動物のイラストも描かれている。

このエプロンを見ると最初の頃は保育園で務めていた時のことをよく思い出していた。
「え？」
千明は慌てて目元を抑える。
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