君の隣は誰にも譲れない

ホワイトナイト

 
 その週末。

 叔母に連れてこられたのはツインスターホテル。朝から、そこの美容室に押し込まれて、着付け、化粧、髪のセットなどされて見たことのないような姿に変身した。

 見合いを断るために色々したが、もう遅いと言われた。まさか、何か締結済み?いや、私も株を取得しているからそんな勝手はできないはずだが、敵対的買収の場合はあり得る。

 とにかく、断るにしても会社の現状や叔父のしたことを知る必要があると思い、見合いだけは出て、その相互さんというお相手に会社の合併条件などを聞いてみようと思い至った。

 着付けを終えて、叔母に連れられてホテルのレストランの個室へ移動した。

「これは、これは、美しい。本郷社長のお嬢さんがこんなに綺麗だったとは……これじゃあ、息子が一目惚れするはずだな」

 向かいの席に座っているメガネをかけた小太りの中年の男の人が私をなめるように見た。その隣は写真の男性。つまりは私のお相手だ。

 一応頭を下げる。
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