🆕足湯と君は居場所【BLピュア】

第7話*恋か――。

*蒼視点

「あっ……」

 そう言いながら優香ちゃんは顔を逆側に向けた。明らかな拒否反応だ。

 危ない。優香ちゃんを至近距離で見つめていたら、無意識にキスがしたくなった。

「ご、ごめん」
「う、うん。大丈夫」

 優香ちゃんの表情は大丈夫そうではない。
 ちょっと気まずい空気が流れていたけれど、少し経つと優香ちゃんのおばあさんがこっちにやってきた。

「ゆう、足湯気持ちいかい?」
「うん。ばあちゃんも入ってみな?」
「長いズボン履いてるけど大丈夫かな?」

 優香ちゃんのおばあさんが首を傾げている。優香ちゃんは自分の足を持ってきていたタオルで拭くと、おばあさんの足元にしゃがんだ。そして「こうしたらいいよ」と言いながらズボンの裾を折ってあげていた。

 優香ちゃんは柔らかい表情になっていて、俺は安堵する。

「はい、出来た!」
「ゆう、ありがとね」

 おばあさんがお湯に足を入れると、それを確認した優香ちゃんも再び足を入れた。

「ゆう、これ気持ちいいね」
「でしょ? 今日来てよかったね。また来ようね!」

 満面な笑みでおばあさんを見つめる優香ちゃん。咲良に対してもだけど、この子は誰にでも優しいんだな。

 その笑みを、俺にも向けて欲しい――。
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