🆕足湯と君は居場所【BLピュア】
 女装に関しては、紫音さんには学校での僕たちの様子も詳しく説明していて「自分から高瀬に言うべき時が来たら説明します」と伝えてある。今知らないのは、高瀬と咲良ちゃんのふたり。

「それにしてもこの髪の長さ、似合ってるよね。確か中学の時も長かったよね?」
「あ、覚えてたんだ」
「うん。可愛かったから」

 中学時代は、ただ切るのが面倒でいつの間にか伸びている感じだった。可愛かったのかな?と疑問に思う。

 コソコソ顔を近づけたまま黄金寺と話をしていると、突然高瀬が「優香ちゃん!」と、大きな声で僕の名前を呼んで、話に割り込んできた。

 大きい声にびっくりして、名前を呼ばれてもびくっとして返事が出来なかった。

「えっと……優香ちゃん、今日の夜も、ひょう花に行く?」
 
 高瀬が訊いてきた。

「どうしようかな。行こうかな」

「優香ちゃんって名前なんだ? 俺も優香ちゃんって、呼んでいい?」

 黄金寺が話をちゃんと合わせてくれている。
 これは初対面の設定だよね?

「うん。大丈夫……です」
「赤……優香ちゃんたち、どこにいくの?」
「足湯だ、です」
「……俺も行ってみよっかな?」

 初対面の設定なのにいきなり一緒に足湯行くとか、なんか違和感だけど……。

 高瀬を見ると、黄金寺を睨んでいた。

「高瀬、その顔怖いよ? 呪ってきそう」
「うるせー」

 何だか不穏な空気が流れてる。
 ここで喧嘩とか、絶対に辞めて欲しい。

「ゆっちゃん、お菓子決めたからぴってして?」

 ふわふわオーラの咲良ちゃんと紫音さんが近くにきて、一気に不穏な空気は消え去った。

< 27 / 53 >

この作品をシェア

pagetop