🆕足湯と君は居場所【BLピュア】

エピローグ

*優斗視点

 春休み。

 今日は高瀬と朝からひょう花に行って、お昼ご飯も食べて。いつもよりも長い時間一緒に過ごそうって話になった。

 朝、顔を洗って化粧水を顔につけているタイミングで高瀬が迎えに来た。

 想像よりも早く来た。玄関で待たせるのは悪いかなと思って、部屋で待っててもらうことに。

「ごめんね、急いでメイクするから」
「別に急がなくてもいいし」

 そう言ってくれたけれど、待たせるのは落ちつかない。

 最近はファンデーションとかチークとか、メイクを始めた頃には買っていなかったものも揃えた。アイシャドウとかも違う色を試したくなったりもして。メイク道具が増えてきたから、薄いピンク色の小さなテーブルとメイクボックスを買って、メイクコーナーを作った。

 すぐにそこでメイクを始める。メイクしている姿をまじまじと見つめてくる高瀬。ドキドキしてアイラインが少しずれた。

「ちょっと、見られるの恥ずかしいんだけど……」
「あ、ごめん」

 後ろを向く高瀬。
 僕に背中を向けながら高瀬は言った。

「化粧してる時の赤井、楽しそうだな」
 
「楽しいよ。メイクしたら可愛くなれて、自信が持てるから」
「化粧してもしなくても、両方可愛いけどな……」

 鏡から視線を外し、高瀬の背中をちらっと見た。
 可愛いってたまに周りから言われるけど、高瀬に言われるのがいちばん嬉しい。

――好きな人から言われた言葉は、特別な言葉になる。

「赤井にとっての化粧は、俺が足湯好きみたいな感じか……」
「僕は足湯も大好きだけどね」

 着替えて肩まで伸びた髪の毛を整えると、家を出た。
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