君の世界に触れさせて

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「はじめまして、柚木花奈です。よろしくね」


 待ち合わせ場所の駅に着くと、夏川先輩と佐伯先輩だけでなく、去年の文化祭で見た写真に写っていた人がいた。


 あのころよりも大人っぽい笑顔に、見惚れてしまう。


『ボウリング、二人追加で』


 昨夜、夏川先輩からそんなメッセージが届いたけど、あの写真のモデルさんに会えるとは思っていなかった。


「はじめまして、古賀依澄です」
「氷野咲楽です」


 芸能人に会った感覚のまま名乗ると、咲楽も続く。


「依澄ちゃんと、咲楽ちゃんね」


 柚木先輩は私たちの名前を呼んで確認すると、そのまま距離を詰めて来た。


 茶色っぽい髪の毛が揺れ、甘い花のような匂いが香ってくる。


 写真だけでも綺麗な人だと思ったけど、実際に会うと、女の私でも惚れてしまいそうだと思った。


「ねえねえ、栄治くんに写真を再開させたのって、どっち?」


 柚木先輩は小声で聞く。


 その理由がわからないまま、私は右手を小さく上げる。


 すると、柚木先輩は両手で私の左手を握った。


 大きな瞳が輝いている。


「ありがとう、依澄ちゃん」


 向日葵のような笑顔とは、このことか。そう思うほどに、可愛らしいものだった。
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