偽装結婚から始まる完璧御曹司の甘すぎる純愛――どうしようもないほど愛してる
元婚約者との再会

 一月下旬。花穂は休暇を取り実家に帰省した。

 今回は響一も同行している。

 移動は車の為、自宅に寄る前に少しだけ市内を観光することになった。

 見合いをした日を含め響一は何度か花穂の地元を訪れているが、どの日も観光する時間を取る余裕はなかったと聞いたからだ。

 彼は花穂が案内する街並みを興味深そうに眺めている。

「街並みに歴史を感じるな。あの延々と続く石の塀は立派なものだな」

 響一はかつて大地主が住んでいたという屋敷跡を見て感心したような声を出した。

「あの家は城崎家の先祖が暮らしていた館なんですよ」

「えっ、本当に?」

 響一が驚いたように花穂を見る。

「ええ。でも火災で建物の多くが燃えてしまったんです。塀は無事だし焼け残った建物に価値があるとのことで、屋敷跡として見学出来るようになっています」

「城崎家はこの地域の名士だと聞いていたが、こうして目の当たりにすると凄いな」

「今はすっかり没落してしまったけど」

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