旧財閥家御曹司の愛妻渇望。 〜ご令嬢は、御曹司に甘く口説かれる。〜



「……天浬さん、押せました」

「ありがとう。今日出しに行こう。その前に父に会ってもらいたいんだけどいいかな」

「はい。もちろんです。よろしくお願いします」


 印鑑を置くと、後ろにいた執事さんがササっと片付ける。天浬さんは、婚姻届を封筒にしまって「昼前には提出しようと思う。その前にだから、十一時にはここを出る予定だが、いいか?」と私に問いた。


「はい。大丈夫です」
「良かった。じゃあ、また後で迎えに行く」
 天浬さんは立ち上がると、この部屋から出て行った。その背中を見ながら私も立ち、部屋へと戻った。

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