まじないの召喚師3





気を取り直して。


自室に戻った私はベッドに潜って目を瞑る。

少しずつ意識が遠のいていって………、あ、イカネさんが手招きしてらっしゃる。

彼女の立つ花畑に足を踏み入れようとした瞬間、再びの振動。



「根暗ァッ!」



「………うるさい女装趣味」



「女装じゃないしー。可愛いものが好きなだけだしぃー」



「………同じじゃん」



「もう怒ったんだから! 眠れる森の美女にしてあげる!」



「…………それは君だろう? さながら僕は魔法使い」



「そうだね、根暗に美女は似合わないわ」



「………大人しく永遠の眠りにつけ」



「食らいなさい! 毒リンゴの雨!」



「……この程度」



「うそっ、毒リンゴが溶けて……!」



「……あらゆるものを溶かす水。弱毒風情が、水の術師たる僕には届かない」



「リンゴがこっちに流れてっ、キャアァァァ!」



………この家には、防音仕様はついていないようだ。

そらそうか。

襲撃にいち早く気づく為には不利になる。

しかしここまで騒がれるとご近所迷惑………いや、響の張った偽装結界の効果で漏れ出てないのか。

にしても、随分と物騒なやり取りが隣でなされているが。

…………壁ぶち破ってこないよね?



「………」



掛け布団を頭まで引き上げ、まるくなる。


原因はわかっている。

よって、無視だよ無視。

もう一度、あの場所に行かせてくれ我が夢よ!



「うるせぇ! 地下でやれ!」



雷地による、本日二度目の雷が落ちた。




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