世界で1番可愛い君

琉斗side

琉斗(りゅうと)side】

あいつとの出会いは確か、俺が5歳の時だった。

「琉斗ー、お隣さんに赤ちゃん産まれたんだって」

ある日の休日。

列車のおもちゃを連結して遊んでいる俺に母親は言った。

「へー」

「あとで見に行きましょー」

「えー、俺はいいってー!」

「いいから!奥さん美人だからきっと可愛い子よー」

そうして俺は母親に半ば強引に
隣の雨宮家に連れていかれた。

***

「琉斗くん、あっちの部屋に咲良(さら)いるから遊んであげてね〜」

渋々…、まじで渋々。
俺はその赤ん坊を見に行った。

案内された畳の部屋に入るとヘンテコな声をあげてちっこい何かが動いていた。

「あぅ……っ」

赤ん坊を見るのはこの時が初めてだった。

「あーっ…うっ!っ!」

ハゲツルピッカで、なんか全体的にムチムチしてて、猿みたいな奴だった。

うさぎの服を着せられ、
手と足をバタバタさせていた。

ふと、ほっぺがぷにぷにしてそうだな、と思い赤ん坊に手を伸ばすと、

ーーギュッ…

赤ん坊が俺の人差し指を掴んだ。

「あぅっ…!…っ!」

意外と力強。てか…

かっ、かっ……、、、



可愛い……!!!!!
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