素直に好きと言えたら*遠回りな恋*
待ち合わせ時間を麻里に報告して、それを麻里経由で斗真に伝えて欲しいとお願いしたんだけど。
≪麻里、日曜日は10時半頃に遊園地の入場ゲート前で待ち合わせでいいかな? 斗真と一緒に来るよね。斗真にも時間話しておいてくれる?≫
≪えー、面倒くさい。陽菜から斗真に言っといて!よろしく≫
好きな人にラインするのとかって嬉しいものじゃないのかな。
麻里も斗真もさっぱりし過ぎてるよね。
こんなんだからお付き合いまで発展しないんじゃないの。
なーんて、今まで彼氏なんて居なかった私に言われたくないか。
さて、と。
斗真に待ち合わせ時間の連絡を入れなきゃね。
≪こんばんは、斗真。日曜日だけど、10時半に遊園地の入門ゲート前に集合ね。麻里と来てね≫
斗真からすぐに返事が返ってくる。
≪守谷にラインしたのか? なあ陽菜、まさか守谷と付き合うとかないよな?≫
≪守谷くんから告白された訳じゃないし、分からないよ≫
守谷くんとお付き合いすることは無いって分かり切ってるけど、斗真と麻里に安心してもらうために嘘でも守谷くんと仲良くしなきゃならない。
≪遊園地で別行動なんてすんなよ、分かったか?≫
斗真って私の保護者?
どれだけ心配されてるのよ、私。
≪大丈夫だよ、いつもみんなと一緒にいるよ。日曜日はよろしくね≫
≪あのさ陽菜。俺、陽菜に言いたいことがあるんだ。遊園地から帰ったらちょっと付き合ってくんね?≫
斗真から改まって話があるって、もしかして麻里に告白する気になったのかな。
それで私に協力して欲しいって言うお願いかな。
胸が痛い。
間接的に振られたとしても、普通でいられるかな。
斗真に笑って協力できるかな。
≪うん、いいよ。私、斗真に協力するね≫
≪協力? なんだそれ。まあいいや。とにかく時間空けとけよ≫
斗真とのラインを終わらせると私は日曜日に着て行く服を選んだり、髪型を考えたりした。
少しでも可愛くして行きたい。
・・・でも、誰に可愛いと思ってもらいたいの。
もう斗真は麻里のことしか見ていないのに。
この時はまだ、斗真と麻里がお付き合いをするという事を他人事のように思っていたのかもしれない。
どれだけ自分が苦しくなるのかなんて想像できていなかった。