素直に好きと言えたら*遠回りな恋*
遊園地デート?
ジェットコースターから降りても斗真の態度は変わらない。
とにかく斗真の不機嫌を直してもらわないと今日1日みんながつまらなくなっちゃうよ。
「ね、ちょっとのどが乾いたからお茶しない?」
私の提案に賛同したのは斗真。
「そうだな、少しあそこで休もうぜ」
ジェットコースターの乗り場から見える場所に売店があって、その店先にテーブルとベンチが並んでいる。
斗真がそこに向かって歩き出した時、守谷くんが私の手を掴んで、
「鈴鹿たちはお茶してな。俺と羽瀬さんはもう一回ジェットコースターに乗って来るわ。行こう、羽瀬さん」
守谷くんは私の返事も聞かず、ジェットコースターまで私を引っ張る。
「えっ、守谷くん待って。斗真たちとお茶・・・」
「それは後でいいだろ。さっきは鈴鹿のわがままジャンケンに付き合ってやったんだから、今度は俺のわがまま聞いてよ」
「でも」
私がお茶しようって言い出したのに。
「あっちも2人きりにしてやった方がいいんじゃないの?」
守谷くんは斗真と麻里を指して、斗真が私たちについてこなかったことを私に知らしめた。
「そっか。そうだよね」
その時の私は斗真を見て淋しそうな表情をしていたのかな。
そんな私の態度を見て守谷くんが何か独り言をつぶやいた。
「ふーん。そう言う事か」
「えっ? 守谷くん何か言った?」
「いや、なにも。さ、もう一回楽しんでくるぞ、行こう」