素直に好きと言えたら*遠回りな恋*


麻里と一緒に守谷くんのことを話していると、次に側に来たのは斗真だった。

「陽菜、今の何だよ?」

斗真も塩野さんと同じでなんだか不機嫌。

「そんなの私が聞きたいよ。私、知らない人に教科書貸しちゃった」

今の一連の出来事をなんとなく斗真には見られたくなかったな。

「陽菜のバーカ! 知らないヤツに貸してんなよな」

「なっ! バカってなによ。バカ斗真」

斗真は男子の中で私が唯一何の遠慮もなく話せる男の子なの。

もちろん斗真も私には一切の遠慮がなく言いたいことを言ってくる。

でもね、斗真は口は悪いけど本当はとっても優しいのを私は知っているの。

私は斗真のおかげで麻里と親友になれたし、高校生活もとても楽しく過ごせているって感謝している。

斗真と一番最初に出会った時、私は斗真のことを好きだと思った。

でもその気持ちは誰にも打ち明けられずにもう2年が過ぎた。

特に親友の麻里には言えない、絶対に。

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