素直に好きと言えたら*遠回りな恋*

2人が居なくなったから私は次の授業の準備をしようと自分の机に戻ろうとした所で塩野さんに声を掛けられた。

そう言えば塩野さんは昨日守谷くんに、どうして私に教科書を借りたのか聞きに行ってたんだよね。

守谷くんは塩野さんになんて答えたんだろう。

「羽瀬さん、あなた隼人に返事したの? 早くOK出しなよ」

え? どうしてそのことを塩野さんが知っているの?

「あの、塩野さんはどうしてそれを知って・・・」

塩野さんが私の話を最後まで聞かずに言葉を被せてきた。

「とにかく、隼人にラインしなよ。隼人たちあなたからの返事を待ってるわよ」

塩野さんは言いたいことだけ私に話すと、自分の席に戻ってしまった。

普通は他の人に内緒にしたいからラブレターという手段を選ぶんじゃないのかな。

それなのに守谷くんはルーズリーフに書いたことを塩野さんに話したんだ。

もちろんラブレターなんて書いたこともないし貰うのも初めてだから、私が普通だと思っていることは他の人には違うのかも知れないけど。

みんなにラブレターを書いたって言ってしまうものなの?

そっか。

この守谷くんがくれたルーズリーフの手紙って、そもそもラブレターじゃないよね。

よく考えたら分かることじゃないのよ、私。

どこにも好きですって書いてないし。

なんだ。

そう考えたら堅苦しく考えなくてもいいような気がしてきたな。

これをきっかけに斗真への気持ちに整理をつけて、他の男の人に興味を持ってみようかな。

ただその相手が守谷くんなのが私には不釣り合いだけど。

守谷くんと遊園地に行ってみようかなって、麻里と斗真が帰ってきたら言ってみよう。

2人は多分驚くだろうけどね。


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