ひと晩の交わりで初恋の人の子どもを身ごもったら、実は運命の番で超溺愛されてしまいました~オメガバース~
第4章
 久我さんの出自が大企業の御曹司だと知ったのは、大学へ入学して、偶然久我さんと再会したときのことだった。
 それまでは自分と同じ生い立ちの人だと思っていた。

 もともと、久我さんとは施設で出逢った。

 両親を事故で亡くし、もうじき一年が経とうかという頃で、大好きな両親の死や親戚からの受け入れ拒否など、幼ないながら目の前に突きつけられた残酷な現実のせいで、人間不信に陥っていた頃のことだ。

 いま振り返ってみても、あの頃の私は自暴自棄で、他人に対して随分失礼な態度を取ってしまっていたと思う。
 反省しかない。

 施設で生活する同年代の子どもたちはもちろん、親身に寄り添ってくれた職員にすら猜疑心を抱き、関りを避けようとしていたそんな私を変えてくれたのが、当時中学三年生で施設にやって来た久我さんだったのである。
 

 当時からすでに完成されていた王子様のような相貌の久我さんは、見た目だけではなく、振る舞いまでもが王子様だった。
誰に対しても平等で優しく、施設のありとあらゆる女性が彼の虜となっていたのだ。

そんな彼がどうして施設に……?

怪訝に感じたが、私のように突然両親を亡くし、天涯孤独となってしまった可能性も考えられる。
久我さん自身に施設にやって来た理由を尋ねたわけではないけれど、少しだけ近寄り難い王子様に親近感が沸くのを覚えた。



 






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