教会を追放された元聖女の私、果実飴を作っていたのに、なぜかイケメン騎士様が溺愛してきます!

31.大聖女の警告

(大聖女様……。姿を見たことはあるけど、あちらは私なんて知らないはず……)

 エレノアはゴクリと唾を呑み、一歩前に進む。

「ご注文ありがとうございます。果実をお届けにあがりました」

 果実の入った籠を差し出し、豪華な椅子に腰掛ける大聖女をエレノアが見つめると、彼女はポツリと溢した。

「そう、あなたが……」
「え?」

 エレノアが聞き返した瞬間、視界が地面に移った。

「?!」

 突然のことに混乱したエレノアだったが、直ぐに自分が地面に突っ伏されていることがわかった。

「頭が高いぞ、お前! お前ごときがお姿を見て良い方ではない!」

 上から注ぐ声に、エレノアは聞いたことがあると、顔を上げる。

「あなたは……」

 未だエレノアを取り押さえる男の顔を見れば、昨日会った第二隊隊長のグラン・オーブリーだった。

「良いのですよ、グラン。呼び出したのは私なんですから」

 大聖女が手をひらりとグランにやると、グランは「はっ!」とエレノアから手を離した。

 エレノアが地面に膝をついたまま呆然としていると、大聖女は優雅に微笑む。

「初めまして。私はエミリア・バーンズ。イザーク様の婚約者ですわ」

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