教会を追放された元聖女の私、果実飴を作っていたのに、なぜかイケメン騎士様が溺愛してきます!
「そうですよ、僕たちをも大切にしてくれる団長は、教会に治療をするよう、かけあっていました。それでも教会は動かなかった。そこに、涙を流しながらも賢明に僕を治療するあなたに団長は目を奪われたんですよ」

 パチン、とウインクをしながらサミュがエレノアに説明する。

「それから、教会から聖女が派遣されるたびに団長はあなたを探していましたよ」
「教会には不可侵ですからねえ。あなたが来るのを兄上は待ち続けた、というわけです」
「ええと、任務の関係では……」

 二人がニヤニヤとしながらもエレノアに説明をするので、何ともいたたまれない。

「イザーク様がいつまでもウジウジと真相を話されないからです!」
「確かに」
「ははは、団長はエレノア様にヘタレっすからね」

 エマの言葉に二人は笑って肯定した。本人がいないのに、散々な言われようである。

「だから、最初からイザーク様の片思いだったんですよ? エレノア様」
「ふえっ?」

 エマの言葉にエレノアは顔が一気に赤くなるのがわかった。

「兄上に色んな表情をさせるのはあなただけです」
「氷の鉄壁を崩すなんて、さすが女神!!」
「ええと?」

 からかっているのか本気なのか、わからないほど真剣にオーガストとサミュが言うので、エレノアも困惑する。

「だから、離婚なんて言わないでください。エレノア様」

 エマが泣きそうな笑顔で言うので、エレノアも何だか泣きたくなった。

「え?! 離婚?」
「ちょ、エレノア様?!」

 エマの言葉にオーガストとサミュが慌てて反応する。

「イザーク様がやり方をしくじりやがりまして」
「はあ〜、兄上……」
「団長何やってんすか……」

 エマのざっくりした説明に、どんどんイザークが悪者になっていってしまう。

「ち、違うんです。あの……皆さんは本当にザーク様の相手が孤児の私で良いと……?」

 やんやと話す三人に、エレノアがおすおずと話すと、エマがくわ、と目を見開く。

「良いもだめもありません!! エレノア様しかイザーク様にはありえません!! まだそんなこと気にしていらしたんですか?」

 エレノアの肩を掴み、勢いよくまくしたてるエマに揺さぶられ、エレノアは視界が揺れる。

「そもそも、兄上の想い人と知って結婚を勧めたのは私です」
「ええ?!」
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