王子様を落とし穴に落としたら婚約者になりました ~迷惑がられているみたいですが、私あきらめませんから!~
 このシンシア。外見こそ知的だが、実は勉強が全然だめで、入学直後の学力テストでひどい点を取り、入学早々放課後に追試まで受けさせられたちょっと残念な子でもある。

 代わりにスポーツは万能なのだが、フリージア学園はスポーツさえできれば卒業できるほど甘い学校ではない。貴族学園なので出席していれば卒業できるくらいのゆるい学校だと思われるかもしれないが、この学園はきっちりと成績も要求してくるのだ。

 そんなシンシアと同じクラスで隣の席になったエイミーは三週間ほど前に、彼女が授業中に教師に当てられて困っていたところをさりげなく助けた。その縁で今ではすっかり仲良しというわけだ。

 入試で主席を取り、入学式の挨拶までして一学年生の尊敬と羨望を集めたエイミーだったが、彼女への周囲の羨望は一夜も待たずして瓦解していた。なぜなら入学初日からエイミーはライオネルを追いかけまわしていたからだ。

 入学から一か月たった現在では、すっかり学園の奇人扱いである。

 ゆえに、エイミーと本当の意味で仲良くしてくれる友人は、この学園ではシンシアしかいない。



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