コーヒーにはお砂糖をひとつ、紅茶にはミルク —別れた夫とお仕事です—
「  」
水惟は頭が真っ白になり、沈黙とも言えない間を作った。

「え……?リコン?…」

「……別れるってこと…?」
想像通りの水惟の質問に、蒼士は頷いた。

「申し訳ないけどこれ以上一緒にいられない。」
「え、なんで…なんで…?急…に…」

昨日どころか、つい先ほどの夕食まではいつも通りの仲の良い夫婦だった。

水惟は蒼士の方を見たまま、困惑した表情を見せると目を伏せた。

「もしかして…」

「急…じゃ、ない…?」

「いつから?…私が倒れて迷惑かけたとき?」

「私が…デザインできなくなって休み始めたとき?」

「それとも……あのとき?あんなこと…言っちゃった…」

——— 結婚なんてしない方が良かった

水惟の質問に、蒼士は少し考えた。

「全部違うし、全部…そうかもしれない。」
「…どういう意味…」

「言っておくけど、水惟が倒れたことが迷惑だなんて思ってないよ。」
「………」

「水惟は自分が前みたいにデザインが出来なくなってることに…俺に対して罪悪感を抱いてるみたいだけど、それも感じる必要がない。失望なんてしてない。」
「…でも…」
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