ピンクの姫が無自覚攻撃を繰り出すので、ブルーの侍が困惑しています(アンジュと近藤)
菅原嫁が腰をかがめて、
写真映えするように、打掛の裾をきれいに広がるよう形を整えていた。

「納戸から婚礼のお道具が見つかって・・
お婆さんの婚礼衣装だと思うけど、桐のタンスにはいっていていね・・とてもきれいで」

アンジュが、恥じらう姫の笑みを見せたので、近藤は、無表情を少し崩した。

かぐやではなく、安寿という姫の話があったな。
あれは悲しい結末だったが・・

「豚汁つくったので、いかがですか?
おにぎりとお漬物もありますし」

菅原嫁が、湯気の立つ大鍋を運んで、いろりの自在鍵にかけた。

「あの、おかまいなく・・」

近藤が辞したが、菅原嫁はくったくのない笑顔で

「お父さん、外の井戸で手を洗ってきてくださいな。
近藤さんを案内して差し上げて。
それからアンジュちゃんは、むこうで着替えてね」

椅子から、立ち上がろうとする姫の手を取るべきか

近藤が躊躇している間に
姫は立ち上がり、ズルズルと重い裾を引きずり、隣の座敷に消えてしまった。
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