ほどほどに愛しなさい
それでも、私は及川くんのことが好きであることに変わりはなく、そんな“変わらない関係”に、どこか安心し、一人の時間や仕事も楽しんでいて、たまにデートできることに幸せを感じられた。

しかし、思いがけないことがきっかけで、私は“変わらない関係”に不安を感じるようになってしまったのだ。

おまけに、それは傲慢で最悪な男の登場によって。

今となっては、あの傲慢な男と知り合わなければ、こうして結婚することもなかったのではないかという気もするが、あの頃は、かなり心をかき乱されたものだ。

私のことを気に入ったと言う、その傲慢な男は、執拗に迫ってくるだけでなく、及川くんは私のことを女として見ていない、プラトニックな関係を5年も続けているなんておかしいと主張。

そんな外野の言葉など無視したらよいものを、私は及川くんに愛されていないと誤解、勝手に別れを切り出し、泣いてばかりの日々…。

ただ傍にいられるだけで幸せだったのに、逃げ出してしまったことを後悔し、傲慢な男のことも突っぱねたまま、さみしい夏が終わろうとしていた頃、久々に及川くんと再会。
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