春日の宮の珍道中 ドタバタ恋愛絵巻
第1章 久遠の巫女
「おーい、葵殿は何処じゃ?」 拝殿背後に有る飯所で爺が騒いでおりまする。
「爺、爺、何もそんな大声で叫ばずとも良かろうに。」 巫女の一人が怪訝そうな顔で爺を窘めておりますが、、、。
「ああ、葵殿ならさっき恒例のお散歩に出られたところじゃよ。」 年老いた巫女がさも迷惑そうに答えますと、、、。
「何じゃ。 またまた散歩に出掛けたのか。 拝殿の用意も有るというのに。」 「爺、それならばもう済んでおりますぞ。」
「なぬ? 済んでおるだと?」 「さっき、覗いてまいりましたが、葵殿が済ませたのでしょうぞ。」
これには爺も何も言えません。 すごすごと奥屋敷に戻って行かれました。
その葵殿はというと、富士の峰を歩きながら日の出を待ちわびておられるようで、、、。
「そろそろじゃな。 本日も風が心地よいではないか。」
漆黒の闇が少しずつ紫色になり、やがて赤らんでまいります。
それがまた少しずつ黄色くなり、辺りにホワーっと広がったかと思うと太陽の頭が顔を出すのでございます。
紫がかった雲の波がだんだんと白々しくなっていくのを今朝も愛でることが出来た葵殿は超ご満悦の様子。
「爺、爺、何もそんな大声で叫ばずとも良かろうに。」 巫女の一人が怪訝そうな顔で爺を窘めておりますが、、、。
「ああ、葵殿ならさっき恒例のお散歩に出られたところじゃよ。」 年老いた巫女がさも迷惑そうに答えますと、、、。
「何じゃ。 またまた散歩に出掛けたのか。 拝殿の用意も有るというのに。」 「爺、それならばもう済んでおりますぞ。」
「なぬ? 済んでおるだと?」 「さっき、覗いてまいりましたが、葵殿が済ませたのでしょうぞ。」
これには爺も何も言えません。 すごすごと奥屋敷に戻って行かれました。
その葵殿はというと、富士の峰を歩きながら日の出を待ちわびておられるようで、、、。
「そろそろじゃな。 本日も風が心地よいではないか。」
漆黒の闇が少しずつ紫色になり、やがて赤らんでまいります。
それがまた少しずつ黄色くなり、辺りにホワーっと広がったかと思うと太陽の頭が顔を出すのでございます。
紫がかった雲の波がだんだんと白々しくなっていくのを今朝も愛でることが出来た葵殿は超ご満悦の様子。