辺境騎士団のお料理係!~捨てられ幼女ですが、過保護な家族に拾われて美味しいごはんを作ります~
第四章 どこでも恋愛事情は複雑なようですね
エルの毎日は忙しい。

 迎えに来てくれた三兄弟の中の誰かと厨房まで行ったら、朝食の支度。ジェナもベティもいてくれるし、調理当番もいるのでエルの仕事はさほど多くない。

 朝食を終えたら、昼食に何を作るか食料保管庫を確認。昼食は食料保管庫の中身で賄うことになっている。

 当番の騎士が、夕食用の食材を買出しに行くのは、午後になってからだ。買ってきてもらうものも、この時一緒に決めてしまう。

 何を作るか決めたら、あとは自由時間だ。

 エルがちょこちょこ歩いていく後ろを、フライパンと包丁が空中浮遊しながらついていくのも騎士団ではもうおなじみの光景である。
 厨房に置かれている包丁には鞘は用意されていないけれど、工房の革職人――普段は武具を作ったり整備したりしている――が、ベティ専用の鞘を作ってくれた。料理が終わるとベティはその中にするりと潜り込み、ジェナとじゃれ合っている。

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