辺境騎士団のお料理係!~捨てられ幼女ですが、過保護な家族に拾われて美味しいごはんを作ります~
「落ち着けメルリノ。ロザリアが根回しをすると言っただろう」

 ロザリアが普段王都で生活しているのは、こういう時のためだ。あの時、傷ついていたエルの姿を、辺境伯家の者達は誰も忘れていない。

「母上は、何をするつもりなんですか?」

 ハロンはまだ、このあたりの貴族のやり取りについては知らない。まだ、見せるのは早いのではないかとも考えていたのだが、いい教材が見つかったと思うべきだろうか。

「なーに、貴族の戦い方っていうのを見せてやるだけさ。なあ、お前達、エルが大切なんだろう?」

 そう問いかけたら、三人とも当たり前だというようにうなずく。

 ロザリアはロザリアで動くだろうし、ロドリゴはロドリゴで別の方面から攻めてやろう。子供達にも、貴族ならではの戦い方を教えるいい機会かもしれない。

「伯爵家は、エルの力のことは知らなかったんでしょうか?」
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