どうやら私、推しに推されてるみたいです…。

「あはは…。担降りはしたけど、アイドルは大好きだからね?いつでもライブ付き合うよ〜。私も胡桃ちゃんに教えてもらったSAISON、歌もうまくて好きだし。よかったら、新曲のCDも今度貸してね」

フォローも交え、そう言った私に対して。

「…!!でしょ!?SAISON良いよね〜!芽結だったらたぶん翔兎くんあたり好きなんじゃない?うんうん!CDいつでも貸すよ…!ついでにアルバムも持ってくるね!」

さっきまでつまらなさそうにしていた胡桃ちゃんは、少し前のめりになりつつ、テンション高めに私に詰め寄った。

わぁ…、当たり。
さすが、胡桃ちゃん。私の好みを完璧に把握してる。

瞳をキラキラさせながら、力説する彼女。

「というか、SAISONのライブ。とりあえず倍率高いと思うけど応募してみる予定だから当たったら芽結も行こうね!ファンクラブの先行抽選で絶対当てて見せる!」

「うんうん。行こうね。もし先行落ちても、一般枠で私も応募手伝うからね」

「…っ!芽結大好き〜。ありがとう…!」

パァッと表情を明るくする胡桃ちゃんが、私にガバッと抱きついたのとほぼ同時に。

--キーンコーンカーンコーン、キーンコーンカーンコーン…。

昼休み終了を告げるチャイムが鳴り響く。

「やば、チャイム鳴っちゃったよ!それじゃ、芽結またあとで」

「うん、あとでね」

慌てて広げていたCDなどを鞄に入れると、胡桃ちゃんは慌ただしく自分の席へと戻って行った。

そんな彼女の背中を見送り、私も授業の準備を始めたのだった--。

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